水の月刊ニュース 10月号
- 2021/10/09
- 15:41

水の月刊ニュース10月号は、2021年9月に起きたニュースをまとめたものです。(ニュースは新聞記事やテレビ報道を要約していますが、記事の趣旨を損なわないようにしています。)
サンマ今季一番の水揚げ 北海道・花咲港に活気

(今季一番の水揚げ量となった花咲港のサンマ 北海道根室市)
北海道根室市の花咲港で25日、サンマ棒受け網漁の大型船22隻、小型船11隻が約730トンを水揚げした。8月28日の約420トンを上回る今季では一番の量となり、港の周辺はトラックや買い受け人の車で活気づいた。
漁初期の主な漁場は、ほぼ3昼夜かかる千キロ以上離れた公海だった。
漁業情報サービスセンター(東京都)は、10月から11月上旬の道東海域へのサンマの来遊について、近海までくる群れは極めて少ないものの、全体量は過去最低の昨年よりやや多いと予測している。 朝日デジタル9月25日
石木ダム、長崎県が本体工事に着手 反対派住民「茶番劇だ」

(石木ダム本体工事が着工された現場=2021年9月8日、長崎県川棚町、住民提供)
長崎県は8日、同県川棚町で進めている石木ダム建設事業の本体工事に着手した。現場周辺では立ち退きを拒む住民が抗議の座り込みを続けており、県は中村法道知事と住民との直接対話に向けて協議をしていたが、不調に終わったとして踏み切った。
中村知事は「これ以上、本体着工を延期するのは難しい」と、9月以降に着手する考えを示していた。
住民の石丸勇さん(72)は「誠意をもって話し合いをやる気など最初からなかったと思う。一方的に『期限が切れた』と宣伝し、本体着工するなんて茶番劇だ」と怒りをあらわにした。県が今後どんな出方をするか、警戒を強めていく構えだ。 朝日新聞9月8日
基地近くで高濃度のPFOS、井戸の利用一部停止 沖縄・金武町

(米軍基地キャンプ・ハンセン。後方は恩納岳=2021年7月15日、沖縄県金武町、朝日新聞社機から)
沖縄県金武町(きんちょう)で、井戸から発がん性が疑われる有機フッ素化合物の「PFOS(ピーフォス)」などが高濃度で検出され、昨年6月から水道水への利用を一部停止していることが町への取材でわかった。町内の井戸9地点のうち3地点で国の目安を上回り、最大で8倍超だった。
PFOSなどの含有量について国が設ける地下水などの水質管理の目安(暫定目標値)は、1リットルあたり50ナノグラム以下。
町は昨年6月、水道水に使う地下水の水源となる井戸9地点を調査。米海兵隊キャンプ・ハンセンから70メートルの地点で、目安の8・2倍にあたる410ナノグラムが検出された。米軍との関連は不明という。町は全ての水道水を、県が管理するダム水に切り替えることを検討している。 朝日新聞9月17日
JR東海社長「流域懸念、想像以上」 市町首長と初の意見交換会

(意見交換会に出席したJR東海の金子慎社長(右奥)と大井川流域の市町長ら)
リニア中央新幹線工事に伴う大井川の流量減少問題を巡り、JR東海の金子慎社長は18日、大井川の水の供給を受ける流域市町の首長との意見交換会を静岡市内で初めて開いた。出席者によると、首長からJRへ厳しい意見が相次いだ。金子社長は終了後の取材に「私どもに至らぬ所があったかもしれない。(流域の懸念は)想像以上」との認識を示した。

意見交換会は非公開。「台風への対応のため」欠席した焼津市長を除く9市町長(島田、掛川、藤枝、袋井、御前崎、菊川、牧之原、吉田、川根本)が金子社長に流域の思いを伝えた。金子社長は具体的な対応は今後検討するとした。
金子社長は昨年6月、川勝平太知事と会談したが、着工の同意を得られなかった。流域10市町は県に対応を原則一本化してきたが、直接説明する機会を求めてきたJRとの意見交換会に今回応じた。JRは今後も開催するよう求めたが、市町側は回答を保留した。 静岡新聞9月19日
「石木ダムは不要」 8月大雨を専門家が検証 長崎県「降り方で危険度変わる」

図 1
長崎県と佐世保市が東彼川棚町に計画する石木ダム建設事業を巡り、河川工学が専門の京都大名誉教授の今本博健氏(83)が、8月中旬に川棚川流域で降った大雨のデータを基に石木ダムの必要性を検証した。
384戸が浸水被害を受けた1990年7月の豪雨よりやや少ない雨量だったが、水位は低く氾濫しなかったと指摘。河川改修で「100年に一度の大雨でも安全に流れる能力が備わった」として、「石木ダムは不要」と主張した。
一方、県は「雨量そのものではなく、降り方で危険度が全く変わる」と反論する。
石木ダム建設事業の目的の一つは市街地が広がる川棚川下流域の治水。雨量が▽24時間で400ミリ▽3時間で203ミリを超える「100年に1度の大雨」で、ピーク時に基準点の山道橋(石木川と川棚川の合流地点からやや下流)を流れる水量を毎秒1400トンと想定。既設の野々川ダムで80トン、石木ダムで190トンの計270トンを低減し、安全に流すことができる1130トンに抑える計画だ。
県によると、今年8月の大雨のピークは14日。今本氏が山道橋や虚空蔵など四つの雨量観測所の平均雨量を調べると、24時間で494ミリに上ったが、3時間では125ミリ、1時間では69ミリだった。短時間集中の大雨ではなく断続的に降ったため、3時間雨量は「100年に1度の大雨」を超えなかったという。
今本氏は、雨量と水位(高さ)計の数値を基に、毎秒800トンの水が山道橋地点を水位3・1メートルで流れたと推計。堤防が耐えられる5・8メートルまで2・7メートルの余裕があり、さらに945トンを流す能力があるという。1745トンを安全に流せる計算になり、県の想定を大幅に上回る。1956年や90年の川棚川の洪水を機に実施している護岸整備や河床の掘削などの効果の表れとみており、「石木ダムは必要ない」と結論付けた。
長崎新聞9月25日
(今本氏は降り方を考慮した上で推定した流量800m³/秒に基づいての、流下能力の検証をしています。長崎県は論点を意識的にズラして反論しています。
なお、石木ダム建設差し止めを求める原告団は、10月21日の福岡高裁の判決を前に、「福岡高裁がこの今本氏の検証結果を新たな証拠として採用して、控訴審議を再開すること」を要求しています。 東京の水連絡会)
かさ上げ最大6メートル検討 国交省、球磨川治水で説明会 八代市坂本町

(宅地かさ上げと輪中堤について、国土交通省の職員ら(右)から説明を聞く坂本町の住民ら)
国土交通省八代河川国道事務所は25日、昨年7月の豪雨で氾濫した球磨川の治水策として、熊本県八代市坂本町で計画している「宅地かさ上げ」と「輪中堤[わじゅうてい]」について、最大6メートルの高さを目安に検討していることを示した。
説明会を同町荒瀬の坂本中で、地区ごとに3回開き、住民計約190人が参加した。
同省は、豪雨で水没した町内3地区25カ所の地盤高を調査。豪雨をベースに、川辺川の流水型ダム建設など治水対策を実施した場合でも球磨川の水位は、地盤高より0~6メートル高いと説明。
住民からは「昨年と同規模の大雨が降れば、示されたかさ上げ高では水没する」「避難先から早く戻りたい。かさ上げの完了はいつなのか」などの質問が出た。国交省は「現時点で完了時期は見通せない」と答えた。 熊本日日新聞9月26日
(川辺川ダムを築造するとしても10年はかかります。その間に2020年豪雨の再来があれば、川辺川ダムを前提とした嵩上げではまったく足りません。川辺川ダムを前提としない嵩上げが急がれます。東京の水連絡会)
~水の月刊ニュース 10月号は以上~ 2021・10・9記