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東京都小金井市の地下水保全について その1

小金井市の地下水事情          小山美香

 

 東京都のほぼ真ん中に位置する小金井市。この名前については、湧き水が豊富で涸れることがなかったことから「黄金の水」が湧く、また、水が湧くところを「井」ということから、「黄金井」(こがねい)と呼ばれ、地名「小金井」の由来になったと言われています。この小金井市の地下水は、水道水としても汲み上げて使われています。そんな小金井市の地下水について、書いてみたいと思います。

 

小金井市は、水と緑の豊かなまちです。市の真ん中を中央線が走り、その少し南には国分寺崖線とそれに沿って流れる野川。北には玉川上水。そして、大きな都立公園も南に武蔵野公園、野川公園、北には小金井公園と、木が多く市民が憩える緑地がたくさんあります。

 「はけ」と呼ばれる国分寺崖線は、武蔵野の面影を今でも残し、湧き水は野川の流れを作っています。東京の名湧水(都内で57か所)には、3ヶ所が選定されていますが、滄浪泉園(そうろうせんえん)、貫井(ぬくい)神社、美術の森緑地のそれぞれの湧き水は、いずれも野川を潤しています。

①貫井神社 76kb 

(写真は貫井神社の湧き水。「小金井」の名の由来となった湧き水と云われる)

 
 そんな湧き水が豊かな小金井市には、水道水源の井戸が20本あります。水道水の約6割が地下水で、小金井市の水道水は地下水に補助水として河川水をブレンドしているのです。多摩地域の水道水の地下水割合は平均して約3割なので、小金井市の水道水はとても恵まれているのが分かると思います。

  ところで、安全でおいしい「水」って、何でしょうか? いつも使っている水道の水はどこから来るのか? 考えたことがありますか?

 *東京の水道水源と浄水場別給水区域 (令和2年4月1日現在)/水道局HP

https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/files/items/18806/File/3a_wide.pdf

  

 東京都水道局は、ダムから流れてくる利根川、荒川の水を水道水源とし、河川水を高度処理して「安全でおいしい水」を供給しています。東京都の水道水源は、約75%を群馬県や埼玉県などの他県にあるダムに依存しています。

都内にあるのは、小河内ダムだけ。多摩川こそ貴重な自己水源ですが、水質汚染をきっかけに上流部でしか取水されておらず、たったの約20%であり、地下水は約5%にしかすぎません。23区はほぼ100%が河川水ですが、多摩地域では多摩川の水と水道水源の約3割(1日約35万トン)の地下水も、水道水源として利用しています。

 

 小金井市には「小金井市の地下水及び湧水を保全する条例」がありますが、その前文をご紹介します。

 「河川水と比べて水温の変化が小さく、土壌のろ過作用を経て水質が清浄であることから、安全性、使い易さ、おいしさなど飲料水としても優れた特性を持っており、小金井市では、水道水の多くを地下水に求めている。」

 この条例の前文からも分かるように、地下水こそ飲料水として優れているのです。

 

 この条例は、20043月に小金井市議会全会派の代表が提案議員になり、全員賛成で制定されました。この頃はまだ、多摩地域の多くの各自治体に水道課があり、事務については都から委託になっていました。その後、水道事業は東京都に完全一元化され、現在はほとんどの自治体に水道課はありません。昭島市、羽村市、武蔵野市、の3市は、都に一元化せずに各市が水道事業を運営しています。

 
 水は、貴重な資源です。人が生きていく上で、なくてはならないものです。地球温暖化が問題になっている今、環境保全や、原発に頼らない再生可能エネルギーなどによる発電に変える動きが世界中で起きています。エネルギーを地産地消するという流れは、水も同じではないでしょうか。遠くのダムより、足元の「地下水」を保全しながら使うことが、何より大事ではないかと思うのです。

②滄浪泉園・湧水(小)86kb 

 上の写真は滄浪泉園(そうろうせんえん)の湧き水。

 2022・2・12記 (写真と文:小山) 

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プロフィール

Tokyo no Mizu

Author:Tokyo no Mizu
プロフィル

東京都は水道水のほぼ60%を利根川水系・荒川水系に依存しています。
つまり、自給率はほぼ40%。こんな自給率で異常気象や大地震が引き起こす
災害に備えることが出来るのでしょか。
私たちは大変に危うい水行政の元で暮らしています。
これまで東京の河川・地下水の保全と有効利用をめざしてきた市民グループ、
首都圏のダム問題に取り組んできた市民グループらが結束して、
「東京の水連絡会」を設立しました。
私たちは身近な水源を大切にし、都民のための水行政を東京都に求めると同時に、
私たちの力でより良い改革を実践していきます。
東京の水環境を良くしようと考えている皆さま、私たちと共に歩み始めましょう。
2016年9月24日。        
                   
      

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