東京都小金井市の地下水保全について その1
- 2022/02/13
- 17:42
小金井市の地下水事情 小山美香
東京都のほぼ真ん中に位置する小金井市。この名前については、湧き水が豊富で涸れることがなかったことから「黄金の水」が湧く、また、水が湧くところを「井」ということから、「黄金井」(こがねい)と呼ばれ、地名「小金井」の由来になったと言われています。この小金井市の地下水は、水道水としても汲み上げて使われています。そんな小金井市の地下水について、書いてみたいと思います。
小金井市は、水と緑の豊かなまちです。市の真ん中を中央線が走り、その少し南には国分寺崖線とそれに沿って流れる野川。北には玉川上水。そして、大きな都立公園も南に武蔵野公園、野川公園、北には小金井公園と、木が多く市民が憩える緑地がたくさんあります。
「はけ」と呼ばれる国分寺崖線は、武蔵野の面影を今でも残し、湧き水は野川の流れを作っています。東京の名湧水(都内で57か所)には、3ヶ所が選定されていますが、滄浪泉園(そうろうせんえん)、貫井(ぬくい)神社、美術の森緑地のそれぞれの湧き水は、いずれも野川を潤しています。
(写真は貫井神社の湧き水。「小金井」の名の由来となった湧き水と云われる)
https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/files/items/18806/File/3a_wide.pdf
都内にあるのは、小河内ダムだけ。多摩川こそ貴重な自己水源ですが、水質汚染をきっかけに上流部でしか取水されておらず、たったの約20%であり、地下水は約5%にしかすぎません。23区はほぼ100%が河川水ですが、多摩地域では多摩川の水と水道水源の約3割(1日約35万トン)の地下水も、水道水源として利用しています。
小金井市には「小金井市の地下水及び湧水を保全する条例」がありますが、その前文をご紹介します。
「河川水と比べて水温の変化が小さく、土壌のろ過作用を経て水質が清浄であることから、安全性、使い易さ、おいしさなど飲料水としても優れた特性を持っており、小金井市では、水道水の多くを地下水に求めている。」
この条例の前文からも分かるように、地下水こそ飲料水として優れているのです。
この条例は、2004年3月に小金井市議会全会派の代表が提案議員になり、全員賛成で制定されました。この頃はまだ、多摩地域の多くの各自治体に水道課があり、事務については都から委託になっていました。その後、水道事業は東京都に完全一元化され、現在はほとんどの自治体に水道課はありません。昭島市、羽村市、武蔵野市、の3市は、都に一元化せずに各市が水道事業を運営しています。
水は、貴重な資源です。人が生きていく上で、なくてはならないものです。地球温暖化が問題になっている今、環境保全や、原発に頼らない再生可能エネルギーなどによる発電に変える動きが世界中で起きています。エネルギーを地産地消するという流れは、水も同じではないでしょうか。遠くのダムより、足元の「地下水」を保全しながら使うことが、何より大事ではないかと思うのです。