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玉川浄水場が廃止されようとしています

お知らせします 玉川浄水場が廃止されようとしています

 玉川浄水場は、東京の区部南部、世田谷区と大田区の境に位置する浄水場です。
多摩川は、1950年代までは水質が良好で区部南部の水道水源でもありました。しかし、1960年代高度経済成長期(=東京への人口集中)に、生活雑排水の流入が増大して水質が悪化し、玉川浄水場は1970年9月に取水を停止し、浄水場としての機能は全面休止になりました。

①kanesekimannpo net 表札
(玉川浄水場の表札 写真はkansekimanpo net)
  4年後の1974年からは上水道浄水場ではなく、工業用水を製造給水している三薗浄水場へ工業用水を補給する浄水場として役割を変更しています。工業用水道は、地下水を汲上げて製造等に用いていた工場等による操業が拡大したことで生じた地盤沈下対策のひとつとして設けられたシステムです。水使用の合理化や製紙工場等の水使用型工場の移転が進行して、地下水の過剰汲上げによる地盤沈下は停止しました。それと共に、工業用水の需要は減少し続け、同事業は経営の岐路に立たされているのは事実です。

NHK昼のニュースが突然 工業用水事業の廃止を伝えました
2018年6月NHKの昼のニュースで突然工業用水事業の廃止(2022年度末)が発表され、10月の都議会で可決されました。現在工業用水やトイレに雑用水を利用しているユーザーは上水道への切替工事が必要となり、料金も段階的に引き上げられることになります。
2021年3月に「東京水道施設整備マスタープラン~東京を支える強靭で持続可能な水道システムの構築~」が発表され、玉川浄水場の「廃止」が明らかにされました。 都議会公営企業委員会で、廃止跡地に新玉川給水所を新設(2024年度整備着手)することが明らかとなり、今後施設や取水堰の解体・撤去、導水管の撤去が想定されます。
施設撤去には国や自治体、土地所有者との調整が必要で、堰撤去による塩害、民有地下の導水管撤去の困難性など多くの問題を抱えています。
 
  水道局は高度経済成長期以降も過大な水需要予測に基づく事業計画により、その水源を利根川・荒川水系に求めてきました。上流部にダム開発を行い、膨大な資金を投入して地域の自然と生活環境破壊を行ってきました。一方で、自己水源である多摩川については水源地における水源林保全事業が中心で、玉川浄水場内に膜濾過の実験プラントを設置したものの、中・下流域の水質改善に対する下水道局の取り組みは、「水道水源としての多摩川」を意識したものではなく、今ひとつ不十分なものでした。
 下水道局では、高度処理を導入し河川の水質改善に一定の寄与をしていますが、合流式下水道が抱える豪雨時の簡易放流問題(大量の雨水流入で下水道から汚水が川などにあふれ出すこと)はまだ解消していません。また、玉川浄水場の取水地点である調布取水所地点の河川流量の約6割が下水処理水のため、河川水温上昇による生物への影響も少なくありません。
 
②京浜河川事務所
(調布取水堰 写真は京浜河川事務所より)

   1991年9月に地域市民や労働組合により「多摩川の水を飲める水にする会」を発足させ、川と接し、流域の水質や生物等の調査、流域でのごみ拾いや浄水場、水再生センター等の施設見学、学習会等を行ってきました。
まだ課題はあるものの1970年代に比べると水質は大きく改善し、生活環境保全に関する環境基準(河川)B類型(水道3級、BOD3㎎以下)を達成しています。更に、下水処理水が混入している原水の浄水処理方式も確立しています。しかし、水道局は「市民のコンセンサスが得られない」と言い訳を繰り返し、再開に向けた説明も具体的な努力も行っていません。

貴重な自己水源 さまざまな活用を・・
   今回の玉川浄水場「廃止」決定は、これまでの努力を反故にするものであり、東京多摩川流域の健全な水循環構築の放棄であり、自己水源を放棄し、快適な都市生活のために他県に犠牲を強いてきたきわめて傲慢な水政策の継承にほかなりません。近年自然災害が多発する中で、災害時の水へのアクセス、トイレや生活排水の処理に対する危機意識が高まっています。区部南部の自己水源確保、給水拠点として、玉川浄水場の役割はますます重要であり、施設を維持改良しつつ新たな役割をもたせるべきと私たちは考えます。

2022 2 18記 東京の水連絡会 運営委員会

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プロフィール

Tokyo no Mizu

Author:Tokyo no Mizu
プロフィル

東京都は水道水のほぼ60%を利根川水系・荒川水系に依存しています。
つまり、自給率はほぼ40%。こんな自給率で異常気象や大地震が引き起こす
災害に備えることが出来るのでしょか。
私たちは大変に危うい水行政の元で暮らしています。
これまで東京の河川・地下水の保全と有効利用をめざしてきた市民グループ、
首都圏のダム問題に取り組んできた市民グループらが結束して、
「東京の水連絡会」を設立しました。
私たちは身近な水源を大切にし、都民のための水行政を東京都に求めると同時に、
私たちの力でより良い改革を実践していきます。
東京の水環境を良くしようと考えている皆さま、私たちと共に歩み始めましょう。
2016年9月24日。        
                   
      

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