球磨川氾濫その10~川辺川ダム 国交省は「35年度完成めざす」~
- 2022/04/15
- 16:29
熊本日日新聞は2022年3月28日。以下のように伝えています。
【 川辺川の新ダム、国交省「35年度完成めざす」 近く河川整備計画原案作
(写真は球磨川水系の河川整備計画について議論した28日の学識者懇談会)
国土交通省は28日、2020年7月豪雨で氾濫した球磨川水系の治水策を議論する学識者懇談会を熊本市で開き、支流の川辺川に建設する治水専用の流水型ダムについて35年度の完成を目指すと明らかにした。環境影響評価(アセスメント)や調査設計、関係者との調整に今後5年程度をかけ、27年度のダム本体着工を見込む。
国交省と熊本県は、新たな流水型ダムを柱とする球磨川水系の河川整備計画の原案を近く作成し、4月にも地元住民の意見聴取を始める。河川法に基づく手続きで、流域12市町村で公聴会を開くほかパブリックコメントも実施。ダムに対して賛否両論がある流域住民が、国や県の治水プランをどのように受け止めるかが焦点となる。
今後30年程度の治水策を盛り込む河川整備計画では、人吉市で「50年に1度」の大雨を安全に流すことを目標にする。新たな流水型ダムを軸に、既存の市房ダム(水上村)の再開発や複数の遊水地の整備、河道掘削などを推進。対応可能な流量を、現状の約2倍の毎秒7600トンまで引き上げる。
家屋への浸水を防ぐ輪中堤の整備や宅地かさ上げは、球磨川中流域にある球磨村、芦北町、八代市坂本町の計6地区で実施。さらに五木村を含む13支川の流域でも取り組む。】
このダム事業費は概算で2700億円、すでに用地買収などにほぼ2200億円が投じられているために全体でおよそ4900億円という巨額な事業費となります。
上の記事にある球磨川水系河川整備計画の原案についてのパブリックコメントが4月4日から始まりました。期間は5月6日までです。
【球磨川水系の治水計画でパブコメを募集 5月6日まで
2020年7月の記録的豪雨で氾濫(はんらん)した球磨川流域の治水対策について、国土交通省と熊本県は4日、今後30年間かけて進める河川整備計画の原案を発表した。5月6日までパブリックコメントを募る。
原案は、3月28日の専門家委員会での意見を参考にまとめたもので、治水専用の流水型ダムを川辺川に整備する内容のほか、遊水地の造成や河道掘削などが含まれている。
県のホームページなどで意見を募集するほか、球磨川流域の12市町村でも1回ずつ公聴会を開く。今後、パブコメや球磨川流域の市町村の意見を踏まえ、河川整備計画を策定する予定だ。】 以上が朝日新聞の記事です。
この原案には、人吉市、球磨村で計約90世帯の移転が必要な遊水地が計画されています。
また、既設の市房ダムの再開発が盛り込まれていますが、市房ダムは2020年7月洪水で洪水調節機能を失い緊急放流に近い状態に陥りました。地元では再開発ではなく、撤去を検討すべきだとの声が数多くあがっています。
そもそもが、川辺川ダム建設に反対する流域住民の声を無視した河川整備計画に大きな問題があることは明らかです。
パブリックコメントについて
今回のパブリックコメントは国管理区間と県管理区間に分かれています。
球磨川は最下図の通り、国の管理区間と熊本県の管理区間があります。
国管理区間の原案についての意見は国に、県管理区間の原案についての意見は県に言わなければなりません。
河川整備計画の原案は下記のURLから。
<国管理区間>
http://www.qsr.mlit.go.jp/…/kas…/kuma_seibikeikaku_genan.pdf
<県管理区間>
https://www.pref.kumamoto.jp/uploaded/attachment/175952.pdf
パプリックコメント(意見募集)は、4月4日〜5月6日17時必着。
郵送は可ですが、メール・電話・FAX不可です。なお、公聴会応募は球磨川流域12市町村住民に限定されています。
<国への意見入力フォーム>
https://www.d5ycg6p8.net/kumagawa_seibikeikaku/
<県への意見入力フォーム>
https://s-kantan.jp/pref-kumamot…/…/offerList_detail.action…
以下のサイトが今回の整備計画の問題点を整理していますので、パブコメを寄せる際の参考になると思います。
「埼玉の川と水を考える会」
https://watersaitama.blog.fc2.com/blog-entry-1796.html
「やんばあしたの会」