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小金井市の地下水保全について その4 地下水の測定

 れいな水を守りたい~環境市民会議地下水測定部会の活動  小山美香

 

 東京都小金井市には「小金井市環境市民会議」があり、市内で環境保全活動をしています。環境保全団体は他市にもたくさんありますが、「小金井市環境市民会議」は他団体とは異なる特徴があります。なんと、「環境基本条例」第27条で設けられた団体なのです。
 環境に関する施策などについて市長に意見を述べることができ、その時々で申し入れなども行っています。

 ◆小金井市環境基本条例 (環境市民会議)

27 市民、事業者等は、積極的に環境の保全等の活動をするための組織として、小金井市環境市民会議(以下「環境市民会議」という。)を置くことができる。
2 環境市民会議は、環境の保全等に関する施策等について、市長に意見を述べることができる。
3 環境市民会議は、市民、事業者、教育機関に属する者、市職員等で構成する。
4 市は、環境市民会議の活動を支援するものとする。


 小金井市が「小金井市環境基本計画」で掲げる将来の環境像「緑・水・生きもの・人・・・わたしたちが心豊かにくらすまち小金井」を実現するため、さまざまな環境面からのまちづくりに市と協働で取り組んでいます。 条例の策定に関わったメンバーを中心に有志が集まり、2004(平成16年に環境市民会議が設立されました。

 

◆小金井市環境市民会議とは(ホームページから)

https://www.koganei-kankyo.org/%E5%B0%8F%E9%87%91%E4%BA%95%E5%B8%82%E7%92%B0%E5%A2%83%E5%B8%82%E6%B0%91%E4%BC%9A%E8%AD%B0%E3%81%A8%E3%81%AF/

 

 地下水位を測ろう

 

 私は環境市民会議の立ちあげには関わっていませんが、設立時に会員になり、その後「地下水測定部会」をつくる時にお声掛けいただきました。
 目的は、大切な資源である地下水の水位と湧水の量・温度を測定することで、地下水の状況と変化を把握し、地下水の保全に役立てることです。

 市と協力し、民間のお宅にある「震災対策用井戸」(当時30カ所)から、測定器を垂らして水位を測定できる井戸を探し、ご協力いただけた16ヶ所の測定に向けて準備を進めました。
 

 ②手作り測定器で水位測定の様子(小金井市児童遊園内の井戸にて) - コピー

 (手作り測定器で水位を測定、小金井市児童遊園内の井戸にて。)

 

一番大変だったけど、おもしろかったのは、測定器づくりです。材料はホームセンターで調達した手作り!です。しくみは簡単で、2つの端子が水に触れると電気が通って計器の針が振れ、水面の位置が分かるのです。国分寺崖線(注)の下にある井戸は、地表から56メートルのところに井戸水面がありますが、崖線上にある井戸は1215メートル前後。なので、20メートルはある赤と黒の2本の導線を、水面が触れる端子から1メートルごとにビニールテープを巻いて印を付けていきました。
 そして、法政大学工学部教授(当時)の山田啓一さんからご指導をいただいて、毎月1回、10年は続けなさいと言われた測定が、200610月に始まりました。3年後に断線などの不具合から市販の測定器に切り替えましたが、その時に水位を測り比べたところ、ほとんど誤差はナシ。何と正確な手作り機器!
①JPEG2006年 手作り測定器  

 

(大活躍した手作り水位測定器、2006年撮影)

 

また、20079月からは、市内の主な湧水地点の湧水量・水温の測定も始めました。湧水量の測定は、バケツでの計測です。

 20116月に発行した環境市民会議の当時の会報「くるりん・ぱ」では、地下水の特集号として、5年間の地下水位と湧水量の測定の活動報告を掲載しました。こちらを見ていただければ、詳しいことが分かります。

 

20116月発行、「くるりん・ぱ」No.14から
 地下水の特集号として、5年間の地下水位と湧水量の測定の活動報告を掲載しました。その内容をご紹介します。

https://www.koganei-kankyo.org/%E9%83%A8%E4%BC%9A%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E9%83%A8%E4%BC%9A/#kururi

 

 地道に測定を続けてきた記録は、国分寺崖線のすぐ上の駅前再開発に参考としてデータを提供したり、大学生が卒論に地下水を取り上げたいと調査に参加するなど、いろいろな出会いもありました。

 井戸水位測定は、10年は続けるという当初に掲げていた期間を超えたことから、115ヶ月に渉っての観測20182月で終了しました。また、その後にも続けていた湧水量の測定についても、コロナ禍の状況が続く中で休止せざるを得なくなり、10年以上継続してきたことから、部会名にある「測定」についてはここで一区切りをつけて、2021年度で活動を終えることにしました。

 測定には区切りを付けましたが、水の保全活動に終わりはありません。また、若い人たちから、おもしろそうだからやってみたいという声が挙がり、新たな活動が始動することにも期待しています。



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小金井市環境市民会議HPから、「地下水測定部会」のページ

https://www.koganei-kankyo.org/%E9%83%A8%E4%BC%9A%E6%B4%BB%E5%8B%95/%E5%9C%B0%E4%B8%8B%E6%B0%B4%E6%B8%AC%E5%AE%9A%E9%83%A8%E4%BC%9A/

 注)国分寺崖線:古代多摩川が南へ流れを変えていく過程で武蔵野台地を削り取ってできた、河川段丘の連なりです。(東京都環境局HPから)

https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/nature/natural_environment/tokyo/area/28_gaisen.html

 

 2022923記 文 小山美香

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プロフィール

Tokyo no Mizu

Author:Tokyo no Mizu
プロフィル

東京都は水道水のほぼ60%を利根川水系・荒川水系に依存しています。
つまり、自給率はほぼ40%。こんな自給率で異常気象や大地震が引き起こす
災害に備えることが出来るのでしょか。
私たちは大変に危うい水行政の元で暮らしています。
これまで東京の河川・地下水の保全と有効利用をめざしてきた市民グループ、
首都圏のダム問題に取り組んできた市民グループらが結束して、
「東京の水連絡会」を設立しました。
私たちは身近な水源を大切にし、都民のための水行政を東京都に求めると同時に、
私たちの力でより良い改革を実践していきます。
東京の水環境を良くしようと考えている皆さま、私たちと共に歩み始めましょう。
2016年9月24日。        
                   
      

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