江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審 不当判決に上告
- 2019/08/06
- 20:59
江戸川区スーパー堤防・控訴審 司法は機能不全に!
7月16日(火)午後4時、東京高等裁判所101号大法廷において「江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審」の判決が都築政則裁判長より言い渡され、控訴人の主張はすべて退けられる結果となりました。
被控訴人席には、7回にも及ぶ弁論期日を通し、18人もが窮屈そうに居並んでいましたが、判決当日は江戸川区の関係者とみられる4人のみ。一審判決のとき、無人の被告席に驚かされたことを思えば、いくらかマシになったよう。
「棄却」言い渡しのあと、裁判長がその理由を約7分にわたり説明したことも行政を相手取った裁判では異例のこと。一審では、裁判長による判決要旨読み上げの申し合わせができていたにも関わらず突然反故にされていました。
今回の説明はそもそも至極まっとうなことで、ありがたがる必要もないのでしょうが、そう思わせるほど、裁判所というところは市民の常識とはかけ離れたことが今も起こっていると言えます。
本控訴審では、国が個人情報を盾に開示しなかった地盤データにつき、控訴人の要望どおり、国の主張を退け、「文書提出命令」が出されるという画期的なできごとがありました。地盤データは国民の生命、身体及び財産に関するものとして公共性がある、調査地点に関する情報は私人の実質的な秘密には当たらない、との判断。
控訴人が求めた人証についても採用され、国側の河川調査官と元江戸川河川事務所長の2名、そして嶋津暉之さんに対しそれぞれ主尋問と反対尋問がなされました。
一審ではかなわなかったこうした指揮は控訴審の大きな成果でした。
判決当日も雨の中、83名の傍聴者が駆け付けました。期日すべてにおいて、大法廷を埋めた市民が裁判のありように風穴を開けたとしたらうれしいことです。
しかしながら、判決の内容はまったく容認できないもの。丁寧なプロセスから、伏せられていた事実や矛盾を引き出した、その内容とはかけ離れたものでした。判決文はわずか23ページ。一審判決をそのまま採用し、わずかに補正されている程度です。
判決文には、控訴人の主張に対し、ひとつひとつ相対する姿勢が見られます。
しかし、中身はと言えば、被控訴人の主張をひたすら文章化、さらに丁寧に追記する箇所も。
裁判所というところは、行政の、いかなる言い分もそのまま受け入れ、市民の言い分はいかに主張立証を重ねようとも立証不足、前提を欠く、などと一蹴する。誰のための、何のための裁判なのか。
残念なことに、最後には公平、公正とは最も対極にあることを今回も痛感させられました。忖度は司法にも。
(判決直後に衆議院第二議員会館内会議室で開かれた集会で、原告の宮坂健司さんは「このまま闘いを止める訳にはいかない」と怒りをあらわにしていました)
報告集会で控訴人から上告の意向が示されていましたとおり、7月26日(金)、上告状兼上告受理申立書が提出されました。
これまでのご支援に感謝申し上げますとともに、これからも、ともに歩みをすすめてくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
江戸川区スーパー堤防取消訴訟を支援する会 稲宮 須美 2019・8・4記
判決要旨
<国が盛り土できる法的権限> 国は、盛り土工事を行う権限を土地区画整理事業の施行者である江戸川区から付与されたと言える。よって、国が法的な権限なく行ったものと言うことはできない。
<盛り土の地盤安全性> 国は対策工事により強度を満たし、盛り土の沈下の収束も確認していることから、不同沈下等が生ずるおそれがあるとは言えず、危険な地盤の上に住むことを余儀なくされ、生命・身体等を害される現実的なおそれがあるとは認められない。
<スーパー堤防の公共性・必要性> 二度の移転など、居住の自由が一定程度制約されたと言えるが、こうした事態は法律上予定されている。地球温暖化の影響等も考慮すれば、本件施工区域付近において超過洪水が発生し、堤防が決壊する可能性は否定できず、堤防が決壊すれば甚大な被害が発生するものと認められるから、必要性・公共性がないとは言えない。
7月16日(火)午後4時、東京高等裁判所101号大法廷において「江戸川区スーパー堤防差止等訴訟控訴審」の判決が都築政則裁判長より言い渡され、控訴人の主張はすべて退けられる結果となりました。

被控訴人席には、7回にも及ぶ弁論期日を通し、18人もが窮屈そうに居並んでいましたが、判決当日は江戸川区の関係者とみられる4人のみ。一審判決のとき、無人の被告席に驚かされたことを思えば、いくらかマシになったよう。
「棄却」言い渡しのあと、裁判長がその理由を約7分にわたり説明したことも行政を相手取った裁判では異例のこと。一審では、裁判長による判決要旨読み上げの申し合わせができていたにも関わらず突然反故にされていました。
今回の説明はそもそも至極まっとうなことで、ありがたがる必要もないのでしょうが、そう思わせるほど、裁判所というところは市民の常識とはかけ離れたことが今も起こっていると言えます。
本控訴審では、国が個人情報を盾に開示しなかった地盤データにつき、控訴人の要望どおり、国の主張を退け、「文書提出命令」が出されるという画期的なできごとがありました。地盤データは国民の生命、身体及び財産に関するものとして公共性がある、調査地点に関する情報は私人の実質的な秘密には当たらない、との判断。
控訴人が求めた人証についても採用され、国側の河川調査官と元江戸川河川事務所長の2名、そして嶋津暉之さんに対しそれぞれ主尋問と反対尋問がなされました。
一審ではかなわなかったこうした指揮は控訴審の大きな成果でした。
判決当日も雨の中、83名の傍聴者が駆け付けました。期日すべてにおいて、大法廷を埋めた市民が裁判のありように風穴を開けたとしたらうれしいことです。

しかしながら、判決の内容はまったく容認できないもの。丁寧なプロセスから、伏せられていた事実や矛盾を引き出した、その内容とはかけ離れたものでした。判決文はわずか23ページ。一審判決をそのまま採用し、わずかに補正されている程度です。
判決文には、控訴人の主張に対し、ひとつひとつ相対する姿勢が見られます。
しかし、中身はと言えば、被控訴人の主張をひたすら文章化、さらに丁寧に追記する箇所も。
裁判所というところは、行政の、いかなる言い分もそのまま受け入れ、市民の言い分はいかに主張立証を重ねようとも立証不足、前提を欠く、などと一蹴する。誰のための、何のための裁判なのか。
残念なことに、最後には公平、公正とは最も対極にあることを今回も痛感させられました。忖度は司法にも。

(判決直後に衆議院第二議員会館内会議室で開かれた集会で、原告の宮坂健司さんは「このまま闘いを止める訳にはいかない」と怒りをあらわにしていました)
報告集会で控訴人から上告の意向が示されていましたとおり、7月26日(金)、上告状兼上告受理申立書が提出されました。
これまでのご支援に感謝申し上げますとともに、これからも、ともに歩みをすすめてくださいますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
江戸川区スーパー堤防取消訴訟を支援する会 稲宮 須美 2019・8・4記
判決要旨
<国が盛り土できる法的権限> 国は、盛り土工事を行う権限を土地区画整理事業の施行者である江戸川区から付与されたと言える。よって、国が法的な権限なく行ったものと言うことはできない。
<盛り土の地盤安全性> 国は対策工事により強度を満たし、盛り土の沈下の収束も確認していることから、不同沈下等が生ずるおそれがあるとは言えず、危険な地盤の上に住むことを余儀なくされ、生命・身体等を害される現実的なおそれがあるとは認められない。
<スーパー堤防の公共性・必要性> 二度の移転など、居住の自由が一定程度制約されたと言えるが、こうした事態は法律上予定されている。地球温暖化の影響等も考慮すれば、本件施工区域付近において超過洪水が発生し、堤防が決壊する可能性は否定できず、堤防が決壊すれば甚大な被害が発生するものと認められるから、必要性・公共性がないとは言えない。